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環境基本法U.家畜排せつ物法について

T.水質汚濁防止法等規制法関係

T.水質汚濁防止法等規制法関係
1 家畜排せつ物法を遵守している畜産農家は、環境省が定める環境基本法に基づく規制法(水質汚濁防止法等)の対象にならないのでしょうか?
2 畜産農家が遵守しなければならない環境基本法に基づく主な規制法はどんなものがありますか?
3 環境基本法に基づく主な規制法の中で規制の対象となる農家はどう定められていますか?
4 水質汚濁防止法等で定められている健康項目と生活環境項目とは何ですか?
5 健康項目(有害物質)及び生活環境項目の排水基準はどんな基準で定められていますか?
6 畜産業の主要な排水基準は、どのように定められていますか?
7 総量規制指定地域とは、どういう地域が指定され、規制はどのように違っているのですか?
8 糞尿を浄化処理した処理水を公共水域に放流できない場合、自己の敷地内に地下浸透しても良いですか?

Q1

Q1.家畜排せつ物法を遵守している畜産農家は、環境省が定める環境基本法に基づく規制法(水質汚濁防止法等)の対象にならないのでしょうか?

A 家畜排せつ物法は、畜産農家が排出する家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進について定めたものであり、家畜排せつ物法を遵守すると同時に 環境基本法に基づく規制法(水質汚濁防止法等)を遵守しなければならない。

環境基本法

環境三法

Q2

Q2.畜産農家が遵守しなければならない環境基本法に基づく主な規制法はどんなものがありますか?

A 主な規制法は、水質に関するものとし「水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)」、「湖沼水質保全特別措置法(昭和59年法律第61号)」、 「瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)」、「特定水道利水生障害の防止のための水道水源水域の水質保全に関する特別措置法)」 悪臭にかんするものとして、「悪臭防止法(昭和46年法律第91号)」、大気汚染にかんするものとして、「大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)」、 廃棄物に関連するものとして、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)」がある。この他、河川法や海洋汚染防止法等の規制法がある。

環境基本法

規制法

Q3

Q3.環境基本法に基づく主な規制法の中で規制の対象となる農家はどう定められていますか?

A 畜産農家の規制は「水質汚濁防止法」、「湖沼水質保全特別措置法」(表1参照)及び「特定水道利水生障害の防止のための水道水源水域の水質保全に関する特別措置法」 (表2参照)で牛舎等の房の規模によって規制の対象が定めら、規制対象農家は、特定施設の届け出をすることが必要です。

[表1] 水質汚濁防止法・湖沼水質保全特別措置法による畜産の規制
条件 規制内容
()は、総量規制指定地域
豚房: 面積50m³ (40m³)以上
牛房:面積200m³(160m³)以上
馬房:面積500m³(400m³)以上
日平均排水量が50m³以上の施設
@施設の内容等に関する届出
A排水基準の遵守義務

[表2] 特定水道利水障害の防止特別措置法による畜産の規制
条件 規制内容
豚房: 面積50m³ 以上
牛房:面積200m³上
馬房:面積500m³以上
日平均排水量が50m³上の施設
@施設の内容等に関する届出
A排水基準の遵守義務
(排水基準:トリハロメタン生成能1.3〜5.2mg/ℓ)
上記に同じ

日平均排水量が50㎥未満の施設
@施設の内容等に関する届出
A構造基準の遵守
(注)トリハロメタン生成能とは、トリハロメタンの原因物質による水の汚染状態を表すもので、 一定の条件下でその水がもつトリハロメタンの潜在的な生成量を言う。
(測定方法は環境庁)

Q4

Q4.水質汚濁防止法等で定められている健康項目と生活環境項目とは何ですか?

A 水質汚濁防止法では、「カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質」及び有害物質以外の「化 学的酸素要求量その他の水の汚染状態を示す項目として生活環境に係る被害を生ずるおそれのある程度もの」と二つの項目に分けて、排水基準を定めている。前者を「有害物質に係る排水基準」とし「健康項目」、後者を「生活環境項目に係る排水基準」とし「生活環境項目」としている。 「健康項目」として、カドミウム及びその化合物等26項目、生活環境項目として、水素イオン濃度等12項目が定められている(平成15年10月1日現在)。  

生活環境項目

  1. 水素イオン濃度
  2. 生物化学的酸素要求量及び化学的酸素要求量
  3. 浮遊物質量
  4. ノルマルヘキサン抽出物質含有量
  5. フエノール類含有量
  6. 銅含有量
  7. 亜鉛含有量
  8. 溶解性鉄含有量
  9. 溶解性マンガン含有量
  10. クロム含有量
  11. 大腸菌群数
  12. 窒素又はりんの含有量(湖沼植物プランクトン又は海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある場合として環境省令で定める場合におけるものに限る。)

Q5

Q5.健康項目(有害物質)及び生活環境項目の排水基準はどんな基準で定められていますか?

A 排水基準には、環境長官が定める一律排水基準と都道府県知事が定める上乗せ排水基準がある。 また、一律基準について達成が困難な業種については、業種ごとに暫定基準を定め、数年ごとに改訂し一律基準に近づけるようにしている。

Q6

Q6.畜産業の主要な排水基準はどのように定められていますか?

A 健康項目については、表3の通りである。

[表3]健康環境項目の基準
  畜産に関連する有害物質 許容限度 適用区域 規制対象となる特定事業場
健康項目 アンモニア、アンモニウム化合物、
亜硝酸化合物及び硝酸化合物
100mg/ℓ
[900mg/ℓ]
全国一律 全ての特定事業場
(排水量規模の設定はなく
1日あたり平均50㎥未満も適用)
注)有害物質は上表に挙げる物質の他、カドミウム、シアン化合物など26物質が定められており、アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物は、平成19年6月30日まで [ ] 内の暫定排水基準が適用される。

[付表1]環境庁長官が総理府令で定める有害物質に係る排水基準(一律排水基準)
項目 基準値
カドミウム及びその化合物 0.1mg/ℓ以下
シアン化合物 1mg/ℓ以下
有機化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る) 1mg/ℓ以下
鉛及びその化合物 0.1mg/ℓ以下
六価クロム化合物 0.5mg/ℓ以下
砒素及びその化合物 0.1mg/ℓ以下
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 0.005mg/ℓ以下
アルキル水銀化合物 検出されない事
PCB 0.003mg/ℓ以下
トリクロロエチレン 0.3mg/ℓ以下
テトラクロロエチレン 0.1mg/ℓ以下
ジクロロメタン 0.2mg/ℓ以下
四塩化炭素 0.02mg/ℓ以下
1,2−ジクロロエタン 0.04mg/ℓ以下
1,1−ジクロロエチレン 0.2mg/ℓ以下
シス−1,2−ジクロロエチレン 0.4mg/ℓ以下
1,1,1−トリクロロエタン 3mg/ℓ以下
1,1,2−トリクロロエタン 0.06mg/ℓ以下
チウラム 0.06mg/ℓ以下
シマジン 0.03mg/ℓ以下
チオベンカルブ 0.2mg/ℓ以下
ベンゼン 0.1mg/ℓ以下
セレン及びその化合物 0.1mg/ℓ以下
ほう素及びその化合物 10mg/ℓ以下
ふっ素及びその化合物 8mg/ℓ以下
アンモニア、アンモニア化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物 100※mg/ℓ以下
備考
1.「検出されない事」とは、環境庁長官が定める方法に基づき排出水の汚染状態を検定した場合において、その結果が当該検定方法の定量限界を下回る事をいう。
2.砒素及びその化合物についての排水基準は、水質汚濁防止法施行令・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令[昭和49年政令第363号]の施行の際、 現に湧出している温泉(温泉法[昭和23年法律第125号]第2条第1項に規定するものをいう。以下同じ。)を利用する旅館業に属する事業場に係る排出水については、 当分の間適用しない。
3.ほう素及びその化合物とふっ素及びその化合物については、海域以外の公共用水域に排出される排水基準値を掲載。
※アンモニア性窒素に0.4を乗じたものと、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素との合計量に基準が適用される。

[表4]生活環境項目の基準
  畜産に関連する項目 許容限度 適用区域 規制対象となる特定事業場
生活環境項目 水素イオン濃度(ph) 5.8以上8.6以下
(海域は5.0以上)
全国一律 1日あたり平均50㎥以上
の特定事業場に適用
生物化学的酸素要求量(BOD) 160mg/ℓ(120)
科学的酸素要求量(COD) 160mg/ℓ(120)
浮遊物(SS) 200mg/ℓ(150)
大腸菌群数 日間平均:3,000個/㎥
窒素含有量 120mg/ℓ(60)
[190mg/ℓ150]
告示より定められた
湖沼及び海域の
流入域
燐含有量 16mg/ℓ(8)
[30mg/ℓ(24)]
注1)窒素含有量及び 燐含有量については、告示(昭和60年5月30日環境庁告示第27号、平成5年8月27日環境庁66号)により、湖沼及び海域が定められている。 このうち海域は、平成20年9月30日まで[ ]内の暫定排水基準が適用される。
注2)生活環境項目については、上表に挙げる項目の他、銅、亜鉛など8項目が定められている。

[付表2]環境庁長官が総理府令で定める環境項目(有害物質以外の項目)に係る排水基準(一律排水基準)
項目 基準値
水素イオン濃度(pH) 5.8〜8.6(海域外)5.0〜9.0(海域)
生物化学的酸素要求量(BOD) 160mg/ℓ以下(日間平均120mg/ℓ)
化学的酸素要求量(COD) 160mg/ℓ以下(日間平均120mg/ℓ)
浮遊物質量(SS) 200mg/ℓ以下(日間平均150mg/ℓ)
ノルマルヘキサン抽出物質含有量
(鉱油類含有量)
5mg/ℓ以下
ノルマルヘキサン抽出物質含有量
(動植物油脂類含有量)
30mg/ℓ以下
フェノール類含有量 5mg/ℓ以下
銅含有量 3mg/ℓ以下
亜鉛含有量 5mg/ℓ以下
溶解性鉄含有量 10mg/ℓ以下
溶解性マンガン含有量 10mg/ℓ以下
クロム含有量 2mg/ℓ以下
大腸菌群数 日平均3000個/c㎥以下
窒素含有量 120mg/ℓ以下(日間平均60mg/ℓ)
燐含有量 16mg/ℓ以下(日間平均8mg/ℓ)
備考
1.「日間平均」による許容限度は、1日の排出水の平均的な汚染状態について定めたものである。
2.この表に挙げる排水基準は、1日当たりの平均的な排出水の量が50㎥以上である工場または事業場に係る排出水について適用する。
3.水素イオン濃度及び溶解性鉄含有量についての排水基準は、硫黄航業(硫黄と共存する硫化鉄鉱を屈採する航業を含む。)に属する工場または、事業場に係る排出水については適用しない。
4.水素イオン濃度、銅含有量、亜鉛含有量、溶解性鉄含有量、溶解性マンガン含有量、クロム含有量及び 窒素含有量についての排水基準は、水質汚濁防止法施行例・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行の際に、現に湧出している温泉を利用する旅館業に 属する事業場に係る排出水については、当分の間適用しない。
5.生物化学的酸素要求量についての排水基準は、海域及び湖沼以外の公共用水域に排出される排出水に限って適用する。
6.窒素含有量についての排水基準は、窒素が湖沼植物プランクトンの著しい増加をもたらす恐れがある湖沼として環境庁長官が定める湖沼、海洋植物プランクトンの 著しい増殖をもたらす恐れのある海域(湖沼であって、水の塩素イオン含有量が1リットルにつき9,000mgを超えるものを含む。以下同じ。)として環境庁長官が定める海域及びこれらに流入する 公共用水域に排出される排出水に限って適用する。
7.燐が入寮についての排出基準は、燐が湖沼植7.燐が入寮についての排出基準は、燐が湖沼植物プランクトンの著しい増加をもたらす恐れがある湖沼として環境庁長官が定める湖沼、 海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらす恐れがある海域として環境庁長官が定める海域及びこれらに流入する公共用水域に排出される排出水に限って適用する。

Q7

Q7.総量規制指定地域とは、そういう地域が指定され、規制はどのように違っているのですか?

A 人口集中、生活活動、事業活動に伴い排出される水が大量に流入する広域の公共用水域や指定水域の汚濁負荷量の総量を削減する為に指定されている地域を 総量規制指定地域としている(水質汚濁防止施行令第2に具体的地名を示している。)規制は通常の規制より厳しくなっている。例えば、A.3の表1 に示すように、房の面積が狭くなっている。

Q8

Q8.ふん尿を浄化処理して処理水を公共水域に放流できない場合、自己の敷地内に地下浸透しても良いですか?

A 特定施設は、排水口で行政が取水し、排水基準を確保しているかどうか検査をすることになっている。その検査で排水基準を満たしていれば地下浸透できる。しかし、ふん尿の 浄化処理の排水には、「有害物質」である「アンモニア、アンモニア化合物等」が含まれる可能性があり、「有害物質使用特定事業場」の届け出を必要とし、また、特定水道利水生障害の 防止のための水道水源水域の水質保全に関する特別措置法等他の法律の規制もあり、地域住民はもとより行政とも十分協議する必要がある。
なお、「有害物質」をその施設で製造、使用又は処理する特定施設(有害物質使用特定施設)を設置する特定事業場(有害物質使用特定事業場)から地下に浸透する水で有害物質 使用特定施設に係る汚水等(処理したものを含む)を含むものを「特定地下浸透水」と言う。

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