匠の土づくり講座 14

14.03.03

 

 

連載14「土を知ろう⑪ 土の中の微量要素(びりょうようそ)」


聞きなれない言葉ですよね。

当然、目に見えるはずもないのですが、土の中にある微量要素は、

植物の生育に必要で、その要求量が微量な元素をさします。

具体的には、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、モリブテン、塩素の合計7元素です。

肥料としてはあまりメジャーではないので聞いたことがない方も多いことでしょう。

 

微量元素とて、何らかの原因で植物に吸収されないと様々な生育障害を引き

起こすことが知られています。


第1に考えられる原因は微量要素自体が土の中に欠乏していることです。

日本の土壌はもともと微量要素含量が低く、植物にマンガン、亜鉛、銅欠乏

が良く発生していました。このため不足する微量要素を補給する対策が

とられていたようです。


第2の原因としては、潜在的な微量要素欠乏です。

土の中には充分なはずの微量要素があるにもかかわらず、植物に吸収

されない現象がこれにあたります。


たとえば、野菜栽培に不可欠な「石灰」のやり過ぎです。石灰を沢山施用すると、

土壌のpHが高くなりすぎてしまいます。すると多くの微量要素の形態が変化する

のです。

つまり、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素は、土の中で溶けにくくなり、

その結果植物に吸われず、結果、植物に欠乏症が起こってしまうのです。


これらのことから、野菜の適正な土壌pHは6.0~6.5に設定されています。


回が進むにつれ、難しい内容になってきましたが、お付き合いください。